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山中湖情報創造館 指定管理者による日々の記録です。


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山中湖情報創造館
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山中湖情報創造館
The YAMANAKAKO Library for The People's Creativity.
開館時間: 09:30-19:00

休館日
元 旦 : 1/ 1 (金)
月末休館日:1/29 (金)

山中湖情報創造館 公式
〒401-0502
山梨県南都留郡山中湖村平野506-296
Tel. 0555-20-2727
Fax. 0555-62-4000

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図書館の継続性/専門性を蓄積するところ

前の投稿で、僕は個人の専門性を取り上げましたが、実はそれ以上に、指定管理者制度における「施設/機能の継続性」について、多くの方が疑問を持っていることがわかりました。
実はこのことは、とても重要なことで、また今後の指定管理者制度を運用していく場合においても、欠かせないテーマであると考えます。

【民間参入:違いがあるから競争できる】
指定管理者制度は、1)サービス向上と2)経費削減の、一見相反する目標を達成するために、民間団体に広く門戸を開き、公の施設における公共サービスの費用対効果を向上させることが目的です。ので、A社とB社、C団体が同じサービス内容であるならば、競争の意味がなくなってしまいます。そこに違うが生まれることが民間参入のひとつの特色です。しかし、それによってA社が運営する期間のサービスと、B社が運営にあたる期間のサービスに自ずと違いがでることが考えられるのですが、これは「施設/機能の持続性」からいえば、同じじゃないから持続性がある...とは、言い難いものになります。

【設置自治体の意思:変えちゃいけない公共サービス】
ここで、指定管理者制度は公の施設を民間団体が勝手に運営できる制度ではないことが重要です。その施設の目的や機能は、設置及び管理条例に規定されいます。また、指定管理者を募集する場合においても、指定管理者が行なう業務を明確することが求められおり、その[指定管理者が行なう業務]は、上記の例でいえば、A社も、B社もC団体も、行なわなければならない業務なのです。いってみれば、その仕様が保たれていれば、[施設/機能の持続性]がある。と言えることになります。

【民間のノウハウ:やり方に違いを出す】
行政は[一定の公共サービスが持続/継続されること]を望み、
民間は[他社との差別化を競争に勝つためのウリとする]。
この状況下の中で、民間にできることは、
 [一定の公共サービスの内容は変えずに、実施する方法/手段を工夫する]
ということになります。そして、この工夫が民間企業にとっては、[企業秘密]ともいうべきノウハウの蓄積になるのです。どんな資格を持った人を何人雇用する。それぞれの勤務時間は、給与や待遇は。正規雇用/非正規雇用の比率は...等々。
民間の営利企業であれば、まちがいなく企業秘密に属するもので、安易に公開できるものではありません。これは競争に参入するすべての団体(NPOも含む)に言えることだと思うのです。

【直営ならば】
直営ならば解決する課題もあるでしょうが、公務員制度の中で「異動」という制度があったり(けっこう突然きます)、人件費の問題や...中には「お役所仕事」意識で図書館サービスを行なっていること...などなどの問題があったから、指定管理者制度の導入が議題に登っていると思うのです。

【変わるものと変わらないもの:専門性の蓄積はどこに?】
以上のようなことを考えると、直営、業務委託/指定管理者制度を問わず、いままであまり「専門性はどこに蓄積するものなのか」を、議論したことはなかったんじゃないか...って、思えてしまいます。図書館内を見渡して、変わるものと変わらないものをならべてみると

↑ 消耗品
| 逐次刊行物(保存期間後、抹消・廃棄)
| 職員(異動、契約期間)
| パソコン(耐用年数の短い備品類)
| 耐用年数の長い備品類
| 蔵書(図書館資料)
↓ 施設(建築物)

(抜けてるものがありましたら、ご指摘下さい)と、書きつつ...あるものを書きませんでした。
それは、古くからある図書館ならば、[目録カード(とカード棚)]、最近の図書館でいえば、OPACを中心とした図書館情報システムです。これはどこに入るかと言えば....

↑ 消耗品
| 逐次刊行物(保存期間後、抹消・廃棄)
| 職員(異動、契約期間)
| パソコン(耐用年数の短い備品類)
| 耐用年数の長い備品類
OPAC(目録カード/図書館情報システム)
| 蔵書(図書館資料)
↓ 施設(建築物)

という図が描けるように思います。そして昨今の傾向として、OPACには蔵書のデータだけでなく、レファレンスデータベースを含めたり、書籍以外に収集した図書館資料を蓄積するなど、いわばそれこそ[専門性を蓄積するところ]ではないか...と、考えています。人間にはどんなにがんばっても寿命があります。おそらく歴史のある図書館では、諸先輩司書の方々が、一つひとつ直筆した目録カードがあると思いますが、それこそがコンピュータが登場するまでは、[専門性を蓄積した一大集成]だったはず。今でこそOPACという図書館情報システムには、1)選書により購入した図書館資料のデータ、2)レファレンス内容とその回答や参考資料、3)書籍以外の資料、4)新聞記事や雑誌記事のクリッピングデータなどなどが、蓄積されてゆき、それを[専門性の財産]として使っていくし、後世に伝え残していくべきものなのだと思うのです。

最後は、ちょっとデジ研の活動の宣伝っぽくなってしまいましたが、

 「専門性は、デジタル技術で、図書館情報システムに蓄積し、それを維持・継続・成長させることが、施設の持続性につながっていく。」という考え方を持つ事ができるように思っています。

これは、指定管理者の職員が入れ替わっても、指定管理者である団体が変わっても、また行政の担当職員が異動になったり、教育長や首長が変わっても...実はしっかり持続性のある[専門性]として、つなげていけるもののように、思います。

もし、ランガナタンがインターネット社会の現在の図書館を見たら、「成長する有機体である」といったのは、職員集団のことだけではなく、知識や専門性を蓄え次世代に成長させながら伝えていける図書館情報システムのことも含めて言っている...かも、しれません。

結論からいえば、
「図書館の継続性/専門性を蓄積するところ」は、『図書館情報システム』であり、こうした[持続可能な専門性を維持するところ]と、言えるのではないでしょうか。
《人でも組織でも自治体でもない。むしろ建物・図書館資料・図書館情報システムに継続性がある》

※...その割には...まだ機能としては不十分ですよね...今の図書館情報システムって...※
(丸山高弘)

by lib-yamanakako | 2006-11-03 17:49 | 私見